映画「ハーブ&ドロシー」TALKSHOW

November 11, 2010

映画『ハーブ&ドロシー』公開直前佐々木芽生監督×安藤モモ子監督 TALKSHOWに行って来た。

ニューヨークでこの映画を観たという友人に「是非観るように」と熱烈に勧められ、映画は観に行こうと思っていただのだがたまたま公開直前にトークショーがあることを知り早速申し込んだ。

“ディレクター” という肩書きだけで言ったら自分と一緒だが、映画の世界で勝負されているお二人の話は、“ためになった” というよりも “触発された” という方が相応しいかもしれない。パワフルなのに嫌みがなく暖かささえ感じる佐々木監督とパワフル且つパンク精神を存分に持ち合わせている安藤監督。まるでパティ・スミスとコートニー・ラブの対談を聞いているようだった(ちょっとおおげさ)。

トークショーは基本的に予め用意された学生達の質問に答える形で進行していく。「映画を作る上で一番苦労したことは?」という質問に対して最終的には「金集め」という結論に落ち着くのだが、様々な困難ばかりが降り掛かる製作現場でどのように対処して来たのか?を興味深く聞いた。「映画を完成させるためには自分のエゴを押し通しているだけではいけない」という話の中で「売られたケンカをいちいち買っていたらキリがない」という言葉が非常に印象に残った。当たり前の話だが作品を作っているのであって、ケンカをしている訳ではない。“作品を良くするためにどうするか?” が重要なのだ。“罪を憎んで人を憎まず” 精神と同じである。それは自分もいつも心がけていることだが佐々木監督からその話が聞けてより一層強く感じた。

質問コーナーで「作品の完成は何をもって完成というのか?」という質問が飛んだ。非常に素晴らしい質問だ。これに対してはお二人とも同じような回答だったと思うが要約すると「ディレクターは常にジャッジをしており、ジャッジをひとつひとつして行っていった結果、作品が完成する」というような主旨のことを言われていた。そして常に正しいジャッジをするためには “常に自分に正直であること” が重要であると付け加えられた。自分がもしこの質問をされても、ここまで明確な答えを導きだすことはできなかっただろう。まさにディレクターというのはジャッジをすることが仕事なのである。非常に素敵な回答だ。

佐々木監督の内に秘めた情熱と安藤監督のパンクな姿勢。この日初めて顔を合わせたというお二人がいきなり意気投合したのも手に取るようにわかった。舞台の上はとてもパワフルな空間だった。

Author: Shin Takeda
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