チェンジリング

March 11, 2010

今月の映画はインビクタスにしようと思い立ち、映画好きな友人に話したところ「チェンジリングを観てから行くべき!」と強く主張され、「もしグラン・トリノも観てなければそれも!」ということで、先ずはチェンジリングを観ました。

このコラムで映画評...というか感想を書くときは、毎回ネタバレに注意して書いているのですが、今回ばかりは書き様がありません。観終わった直後は何も言えませんでした。実話を元にしたこの作品。先ずは映画的な側面から(専門的ではないですが...)。

この映画の最大の見所はなんと言ってもアンジェリーナ・ジョリーの演技でしょう。アカデミーで主演女優賞を獲得してもおかしくないほどの演技力。強いて言えば “美し過ぎる” ことくらいでしょうか...。1度しか観ていないので何とも言えませんが、その他に感じたところではアンジーの脇を固める男性俳優人について。牧師役のジョン・マルコヴィッチはもうちょっと良い人風な感じを醸し出して欲しいし、警部役のジェフリー・ドノヴァンはもうちょっと悪い人風の方が役にはあっているかと。とは言え “完全なる悪と完全なる善” の物語でもないので、これで良いのかもしれません。

この映画は事実を元にしているとはいえ、多少なりとも脚色が入っていることに違いはありません。イーストウッド監督が “true story” というテロップを入れたくなかったという話もあります。しかし脚色云々よりも、この映画を観終わって感じたのは、1920年代というかなり古い時代背景でなくとも、このような事件は、誰の身にでも降り掛かる可能性がある、ということです。

もちろん今の警察はこの時代ほど汚職にまみれていることはないかもしれません。そして事件の解決につながるDNA鑑定もあります。しかし、現に汚職事件は起きており、DNA鑑定のミスもあります。権力に操られる人もいるでしょう。そういった、現代でも起こり得る事件と捉えて観ると、とても怖い映画です。もっと怖い事実は、この事件は映画になり得るストーリーですが、世の中にはそうでないことが非常にたくさんあります。

映画の中で、腐敗した警察に苦しめられる人々と、それに立ち向かう主人公。友人曰く「イーストウッド作品に脈々と流れるマッチョイズム」だそうです。なるほど納得です。「映画は人々に勇気と希望を与えるものである」なんて声が聞こえてきそうです。

Author: Shin Takeda
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