ディア・ドクター

September 6, 2009

以前レビューを書いた「歩いても 歩いても」と同じ、エンジンフイルムさん制作の作品「ディア・ドクター」を観た。ここんとこ映画づいている(アニメ2本だけど...)自分にガツンと一発喰らわす作品だった。

何よりもこの映画は脚本が素晴らしい。絵に描いたような、それこそこの手の映画によく出てきそうな僻地の山村。そこで繰り広げられるストーリー。(これもよく有る手法だけど)過去と現在が入り交じって語られるある医師と村人の物語。いや、これは“医師と村人の物語”なんだけど“ある医師の物語”と言った方が正しいのかもしれない...。よく有りそうなストーリーなのに、なんだかひっかかる。鶴瓶さんと瑛太くんの演技は素晴らしい。もちろんその他の役者さんも。ただその中で、自分の嘘に押しつぶされそうな役柄を演じる鶴瓶さんのハマりっぷりったら、尋常じゃなかった。ほぼ日の対談(ちょっとネタバレ)を読むと、これがあて書きじゃないというのだから、更に驚きだ。

なんだか非常に深い作品なので、グイグイ興味を引かれてしまうのだが、この作品の元となっている短編集「きのうの神さま」というのがあるらしいので、こちらも読んでみようと思う。まだ読んでいないのでなんとも言えないのだが、西川監督の思いが詰まっているような気がする。

最後に一応ラストシーンについて。前出の対談でも語られているが、私的にはとても好きなラストシーンだった。前後の脈略なんて関係ない。だって映画なんだもん。

あと一つだけ言わせてください。ラストシーンの撮影場所は、自分にとって非常に思い入れのある場所だった。ラストシーンに入った瞬間に気がついた。そういえば、エンジンフイルムの方もここにお見舞いに来てくれたなーと。そんなところも、自分にとって少し思い入れを強める要因になっていることは間違いないと思う。しかし、それを差し置いても、非常にやさしくて、強くて、弱くて、素晴らしい映画だったというのが私の率直な感想です。

Author: Shin Takeda
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