劇場のアリス

April 25, 2009

昨日までの予報通り、朝起きたら外は雨。どこかへ出かけたい衝動にはかられるけど、特に行き先も思いつかないので、先ずはシャワーを浴びることにした。こういうときいつも「お風呂に入って考えよう」と思いながら入るのだけれども、お風呂から出てみると、何も考えていないことに気がつく。今日もいつも通り何も考えていなかったから、喫茶店へ行って珈琲でも飲みながら本でも読もうと思い、行きたい喫茶店に思いを巡らせる。目黒が有力。「あ、目黒と言えば、目黒シネマは今なにを上映してるかな?」。調べてみると2本のうち1本は既に観た作品だった。良い作品だったのでもう一度観ても良かったけれど、もう1本が特に観たい作品ではなかったので、やめにした。フト、数日前にtwitterのタイムラインで話題になった早稲田松竹を思い出したので、調べてみるとちょうど初日だった。行き先決定。初訪問です。

先日マーク・ロスコを観に行ったときにも感じたことだけれど、鑑賞をする場所というのは、非常に重要。DVDやYouTubeなどで何度かは観たことがあるシュヴァンクマイエルだけれど、やっぱり心の底からは楽しいと思えなかったのに、今日はやっぱりちょっと違った。映画館ならではの迫力とか、もちろんそうだけれども、もっと根本的なことを言ってしまうと、制作者は映画館で観ることを前提に作っているのに、映画館で観ないで評価をするのはおかしい。ということだと思う。ということで体感してきました。

先ずは「シュヴァンクマイエル短編集 対話の可能性」。次々に上映される短編の数々。観たことのある作品もチラホラありましたが、その中で一番グッときたのが「地下室の怪」。たぶんこれは、入門編としては非常に良い作品なのかもしれません。シュヴァンクマイエルの幼少期の体験が元になっているというこの作品ですが、本当にわかりやすい。そして魅力たっぷり。ピカソの言葉の中で「子供のような絵を描けるようになるのに50年かかった」(正確ではないかも...)という言葉があります。シュヴァンクマイエルの作品には、子供の無限の想像力が表現されている作品が多くあり、特にこの作品は「そういえば子供のころはこうだった!」と思い出させるところがあります。オススメです。

続いて「アリス」。いやー、大画面で、ウサギの剥製がグリグリ動いたり、鍋や皿がバンバン飛んでくる音がうるさかったり、「くびをきれ!」と何度も言われたり。この感じは何かに似ている...と思ったらわかりました。ディズニーランドにいる気分です。もう何だか、おかしかったり、めちゃくちゃだったり、大興奮だったり、ドキドキしたり、ハチャメチャだったり...。おもちゃ箱をヒックリ返したような感じです。いろんな、いろーんなおもちゃが詰まったおもちゃ箱。ホント何でも有りで、子供って、何にでも興味を示すので、ひっちゃかめっちゃか。この映画もそんな感じ。映画館の大画面でおもちゃ箱をひっくり返してるんだから、そりゃあもう、面白いはずです。

最後に、今日のこのプログラムで非常に良いと思ったこと。それは、シュヴァンクマイエルの長編作品「アリス」を上映するにあたって、同時に「シュヴァンクマイエル短編集」が上映されたことです。いろんな短編作品のいろんなモチーフがあって、この「アリス」が出来上がっているということが非常によくわかるプログラムだと思います。早稲田松竹は、こういった意味の深いプログラムが多い感じなので、今後も足しげく通うことになりそうです。そして、今度は是非自転車で来たいと思います。

Author: Shin Takeda
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