港区南青山6丁目

November 25, 2008

2008年11月22日。今まで観たライブの中で、恐らくたぶん、No.1のライブを観た。BOOKER T. & THE MG's。メンバー4人が自分から1mの距離を通って、ステージに上がった。BOOKER T. JONESは3m先でオルガンを弾いている。なんて幸せなんだ、オレ。この人たちは、こんなライブを半世紀も行っているのかと思うと気が遠くなる。なんて言いながら、気が遠くなる暇もないほど釘付けになった。どうでも良いことだが、バンドの演奏が素晴らしいと、観客のハンドクラップにもグルーヴが生まれることを知った。世界中どこに行っても、昔からこんなに素晴らしいパフォーマンスをしているんだろうなぁ。メンバーみんなが前のめりに転がる演奏。素敵だな。乗せられちゃうよ、誰1人もれなく。どの曲を聞いても、古いとか、懐かしいとか、思わなかった。現在進行形の音だった。進化し続けているんだと思う。リアルに、今、目の前で、繰り広げられている演奏。たった4つの楽器だけで。演奏は手慣れたものなんだろうけど、それを楽しんでいる姿を観て、楽しむ観客。その全てがエンターテイン。たぶん彼ら以外で、こんなスゴイライブを観られるのは、あと10年以上先だろうな。
BOOKER T. & THE MG's featuring BOOKER T. JONES, STEVE CROPPER and DONALD ‘DUCK’DUNN

あ、あと思ったこと。客席から「SOUL MAN!」とリクエストが多数あがっていたにも関わらず、このステージではSOUL MANを演奏しなかった。理由はたぶん、SOUL MANを歌うSOUL MANが居なかったからだと思う。なぜなら清志郎が来た日には演奏したから。

渋谷区神宮前5丁目

November 22, 2008

先週の土日と、昨日、オフィスの内装工事をやった。ドタバタだった。このために、テーブルを作り、本棚を作り、壁と、引き戸まで作ることになった。デザイン/設計は昔からよく知るデザイナーさんに依頼した。気心知れた方なので、私のやりたいことをわかってくれると思ったからだ。実際に、デザイナーさんは私のことをよくわかってくれた。だがしかし、いろいろ大変。

内装工事のディレクション?というか、施主なので、あれこれ注文をつけたり、相談をしたりする。内装ももちろんそうだが、今回の移転にあたっては、ネットワークなども含め、今まで自分がやりたいと思っていたことを詰め込んだ。コンセプトは全部自分で決めた。もちろん会社のメンバーにも説明しながらだが。一番大きなコンセプト?というか、要望は“ケーブルを表に出さないこと”。そして“オフィスはフリーアドレスにする”と決めていた。そこから長い戦いが始まった...。

普段の仕事でもそうなのだが、何が一番大変かって言うとやはり“予算”と“納期”。この限りある条件の中で、出来る限りのことはやったつもりだ。そして、本当にこれは普段と全く同じなのだが、職人さんとの仕事が、大変。悪く言えば“扱いづらい“、良く言えば“ポリシーがある”。「これは使いづらくなってしまうので調整してください」とお願いしても「こちらの方が安全だから」とか。不毛なやり取りが続く。それでもこちらの意図をしっかりと説明して、というか、もはや懇願して、対応してもらう。そして、これも悪い言い方になってしまって申し訳ないのだが、職人さんはすぐに“手を抜こうとする”。“水は低い方に流れる”とはよく言ったものだ。「これで大丈夫ですよ」を連発する。大丈夫じゃないから言っているのだ!それに平気で「ま、これくらいで良いか」とお客である私の前で言ったりもする。これが自分の家だったら手を抜くのだろうか?そんなことまで考えてしまう。たぶん5年くらい前、自分も、そのことを自問自答した。仕事でウェブサイトを作っていて、最善を尽くしていたけれども「もうこれ以上出来ないよー」という気分になった。でもこれが自分のサイトだったら、まだとことんやるだろう。お客さんとしては、折角作るのだから、とことんやりたい気持ちだろう。それに気づいて、とことんやった。もちろん“予算”と“納期”があるから、限度はあるけど、可能な限り対応した。それ以来、ウェブサイトを作る時は、自分のサイトを作るつもりでやっている。...少なくとも可能な限りは。

なんて、100歩も200歩も譲っているつもりではあるが、現場では「だいたい良いんじゃない?」とか「だいたいこれくらいかな?」とか「こんなもんじゃない?」とか、曖昧な会話が飛び交っている。曖昧さも大切だ。日本にはワビサビという言葉もある。今回は木の素材を多く使っているので、季節によって歪みや反りも出てくるというものだ。とはいえ、1mm違えば相当違うことは私でもわかる。例えばウェブサイトのデザインで、揃っているべき罫線が1px違っていれば気持ち悪いのと同じだ。このさじ加減が難しい。それで考えていたりすると、職人さんは「こんなもんですよ」と言ってくる。ちゃんとした経験と検証からくる「こんなもんですよ」だったら良いのだが、全くそのように感じない。先日不具合のあったところを直してもらったのだが、それで良くなった。だが、そのとき職人さんが言った言葉にはキレたね。最近滅多に人前でキレることはないけど、これにはキレたね。「良くなったでしょ?」ってお前!この前は「これで良いのです。これくらいじゃないとしっかりしないんです。」って言ってたじゃやないか!さすがに「この前と言っていることが違うので信用できません!」って言ってやった。自分的には相当嫌なクライアントになった気分だった。これほど信用できない人は珍しい。でもこの業界の人はそうなのかもしれない。相手が納得すればそれで良し。...ま、そうじゃないことを祈る。そして次こそは、そうじゃない人と仕事をしたいと思う。あ、でも1名の方だけは、最後までしっかりと誠実に対応してくれた。それだけが救いかな。ってこの感覚、ホント、普段の仕事と一緒。アイデアと、センスと、そして誠実な人と、仕事がしたいです。

そんな紆余曲折を経て、実際にどんなものが出来上がったかは、写真を見てもらいたい。出来上がったもののほんの一部なので、この感じは、体感してもらった方が良いだろう。是非一度、見に来ていただきたい。
ワークテーブルとカバーをとったばかりの椅子とMy MacBook

この椅子に座って、今このコラムを更新している。感慨深い。正直言えば、“うるる”と来ている。私にとって初めてだった内装の仕事。それを任せてくれた、会社のみんなに感謝したい。ありがとう。...って、会社の人はこのコラムを見ていない...。

渋谷区神宮前6丁目

November 16, 2008

かれこれ12年ほど前、上京して来たばかりのころ。スタイリストさんに教えられて神宮前のロイヤルフラッシュを訪れた。そこには、キラビやかで、ぶっ飛んでいて、とても高価な洋服の数々が並んでいた。欲しい服いっぱい。でも高価でどれひとつとっても手の届かない代物ばかり。「いつかここで買い物できるようになってやる!」なんて心に誓い、お店を出た。それからズーッと、憧れのお店。

そんなお店で1ヶ月ほど前、シングルのライダースを購入した。白いライダース。これもかれこれ10年ほど前から欲しかった代物。初めて白のライダースを見たのもロイヤルフラッシュ。でもそのときは高価すぎて手が出なかった。別にお金持ちになったという話ではなく、気合いを入れてここで服を購入出来るようになったということ。当時、実際にどうだったかは定かではないが、最近のロイヤルフラッシュの印象は若干チャライ印象。そんな雰囲気のお客さんもたくさん来店している。でもそんな中にも、ボクに「着てくれ」と言わんばかりの、キラビやかで、ぶっ飛んでいて、そして、とても高価な洋服がある。そして、その中のひとつから、白いライダースを購入したのだ。

かれこれ2年ほど前、ふらっと立ち寄った立ち飲み屋さん。今では常連のそのお店で先日、マスターと談笑していたときのこと。ひょんなことからマスターの奥様の話になった。なんと、とあるロイヤルフラッシュの店舗で店長さんをされているとのこと。なんという偶然。そのお店の常連になっているという事実も、ただの偶然ではない気がした。もちろんそこでは、先に述べたようなロイヤルフラッシュ好きのアツいトークが繰り広げられた。

巡り会ったから好きになったわけではなく、好きだから巡り会った、好例である。

夕方5時は真っ暗

November 10, 2008

最近制作のディレクションをしていて、つくづく思うことがある。デザイナさん、プログラマさんなどで、明らかに自分のミスで間違えているというのに、謝らないのだ。正直「お前、何様だよ!」と心の中で思ってしまう。ま、そこまで過激では無いにしろ「あなた、どちら様ですか?」くらいには思う(...これだと意味が違うか)。もちろん口に出しては言わないが、やはりそういう人とは仕事はしたくないと思う。でも仕事だから仕方ないか。と、どちらを優先すれば良いかわからない状態になる。人として必要最低限の礼儀くらいは守ってもらいたい。この前もビジネスマナーのなっていない代理店のお方を説教してやった。だってメールの返信全然返さないんだもん。こっちは待ってるっていうのに。何様だよ!でも仕事だから仕方ないか...。絶対言えるのは、怒るのを止めた方が、体には良いってこと。仕事だから仕方ないか。って、割り切ってやること。俺が怒らなくたって、その人はどこかで怒られる訳だし。俺が怒ったって、なんにも感謝されないし。つくづくこの仕事(ディレクター)の儚さを実感する。これはこれで仕事としてやりつつ、なんか他のこと始めないとなー。って思う今日この頃。午後5時に流れる夕焼け小焼けのチャイムはなんだか音足らずな気がする。

高野豆腐がこんなにうまいなんて!

November 02, 2008

イラストレーターの似鳥さんと料理人研究家の浅倉ユキさんのコラボ個展に行ってきました。

最初はこの組み合わせに「?」と思った個展も、実際に行ってみると「!」に。

小さな個展会場に入るとすぐにお二人のプロフィールが壁にかかっていました。実はお二人のことを何も知らない私は先ずそれを読むことからスタート。フムフムと少し納得しつつ、1歩進むと似鳥さんのイラストが飾ってあります。そしてその隣には似鳥さんのエッセイが。そしてまた1歩進むとイラストが。次はエッセイ。てな具合に、似鳥さんのイラストとエッセイが交互に飾ってあるのです。エッセイは、浅倉ユキさんとの出会いから、その料理について、はたまた自身についてのセキララな告白まで。イラストはこのエッセイの“挿し絵”のようにも見えました。オープニングパーティーだったこの日は、浅倉さんの美味しいお料理をいただきながら談笑したりして、和気あいあいとした個展でした。一番驚かされたのが、この個展のために作られたというポストカード。もちろんポストカードの裏側には、似鳥さんの料理のイラスト。そして表側の下半分には料理の写真とレシピが載っていて、この個展で知った料理を、家に帰って実際に作ってもらえるようになっている、レシピ付きのポストカードです。料理を自分のものにしたら、そのポストカードを友人に送って、素敵な料理を紹介できる!なんて素晴らしい企画なんでしょう。これにはやられました。

最初は正直“料理のイラストが中心の個展”としか思っていなかったのですが、実際は、浅倉さんと似鳥さんの、料理に対する愛情と、その料理のある生活の楽しさがいっぱいの、素敵な個展でした。

Author: Shin Takeda
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