CafeとBarの間で

June 4, 2012

公にするのは初めてですが、日曜限定でバーのマスターを始めてもうすぐ2ヶ月が経とうとしています。とはいえ日曜限定なのでまだ7回しか営業はしていませんが...(しかもプレオープン状態)。カウンターの内側に立っていると誰ひとりの例外もなく「どうしてマスターやろうと思ったの?」と聞かれます。その度に「久しぶりに接客業がやってみたくなったから」的な回答をしているのですが何だかモヤモヤしていました。

ネット寄りな方に説明する時は「Twitterを始めとする様々なウェブサービスが身近になってきて今やもう日常となりつつあるこの状況でその先は?と考えたらリアルに辿り着いた」と答えています。概ねそんな感じです。

ネットの仕事とリアルの仕事の一番大きな違いはお客さんの反応が“リアルに見える”か“リアルに見えない”か、ではないでしょうか。

ウェブディレクターの仕事をしていると、お客さん(ユーザ)の反応はリアルには見えません(広義な意味で)。しかし、接客業の場合は違います。場所を開いて仕込みをしてお客さんを待つところまではどちらも同じですが、お客さんがその場に“居る”のと“居ない”のとでは全く違います。

もちろんウェブサイトは不特定多数の人が見るという意味で、様々な注意点や工夫が必要です。ただ、モニタの向こう側に居る、自分の作ったウェブサイトを見ている人の存在をリアルに感じないため、ややもするとその存在を忘れがちになってしまいます。忘れがちになるからこそ、気を引き締めていろいろなシチュエーションを想定してサイトを設計し、制作をし、検証をします。しかしサイトに訪れてくれている人が本当にどんな顔をしているかまではリアルに知ることはできません。

接客業はダイレクトに反応が返ってきます。「美味しいね」と言ってくれる人も「なんかいつもと違う」と教えてくれる人も、皆少なからず気を遣ってはくれますが、それも含めてリアルな反応です。逆にリアルな反応が見えるからこそ調整できるということもあります。ウェブサイトにはそれができません。インタラクションという設計された範囲を広げればある程度はカバーできる部分もありますが、それでも限界はあります。

どちらの接客も、それぞれに活かせるポイントがあると思うのです。今の自分の立場だからこそできることを探りたいとも考えています。

そんな理由から、日曜限定ではありますがバーを開いております。このコラムの読者さんは大歓迎なのでお気軽にお声がけください。いつの日か“普通のウェブディレクターがなぜ、バーで「日本一」になったのか”なんて記事が書かれることはないと思いますが、ネットの仕事もリアルの仕事も、多くの人に喜んでいただけるよう日々精進したいと思います。

Author: Shin Takeda
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