シングルマン
October 8, 2010
シングルマンを観た。
最近映画館で観る作品は派手なものが多かったので久々に渋い作品だ。当たり前だがこの映画、トム・フォードの美学全開。しかしこの映画の中に押し付けがましい美しさは全くない。それは衣装やインテリアや映像そのものだけではなくストーリーにも感じる。美しい、美し過ぎる。
映画が終わったあと何人かのお客さんが涙を拭いていた。怒られるかもしれないけれど「それは違うだろう！」と思った。アメリカ人の監督が作ったこの作品は「人生ってこういうもんだよね」と問いかけるようにして終わっている。まるでフランス映画のような作品だ。
秀逸なのは映画のテーマと思われる内容が主人公の言葉で語られているワンシーン。映画を観終わったあと、ジワジワとその言葉の意味を感じて更にグッと来た。
単純にストーリーだけを追ったら涙することもあるかもしれないが、ストーリーだけを語ったら一言二言で終わってしまうほど単純なものだ。しかし決して原作が単純という訳ではないと思われる。そしてそれに輪をかけて絶妙に練られた脚本と美し過ぎる映像がこの映画を素晴らしいものにしているように思った。
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